宮城県内水面水産試験場見学の報告

去る4月23日(土)会員5名にて、宮城県黒川郡大和町吉田字旗坂地
内(船形山登山の升沢コース登山口「旗坂」)にある宮城県内水面水産
試験場を見学した。
内水面水産試験場とはあまり聞き慣れない施設であるが、その概要
は、「昭和56年にオープン、北泉ケ岳に源を発する大倉沢の伏流水
(氾濫原)と蛇ケ岳・三峰山を源とする丸松保沢の2水系を水源(毎分2
0トン)とした飼育水を使い、ヤマメ・イワナなどサケ科魚類を主体に交
雑育種やバイオテクノロジー等の研究を行っている。
また、県魚病指導総合センターとして、各種魚病の診断指導も行っている」とのことである。
担当者のお話しでは、宮城県での内水面(河川、湖沼)では、イワナ、ヤマメ(サクラマス)、ギンザケ、ヒ
メマス、ニジマス、テツギョ、シナイモツゴ等が在来種としているが、テツギョ、シナイモツゴなどの希少種
の生息が少なくなっているとのことであった。養魚場では、該試験場にて全国で初めて成功した「全雌三
倍体イワナ」を紹介された。その大きさはとてもイワナのイメージではなく野鯉の大きさであることにまず
驚かされた。これは「イワナ本来の美味しさを保ちながら食用に供する」との研究の成果であり、現在養
殖が行われているとのことであった。
見学の感想としては、内水面の環境保全においてその生息実態把握が資金(予算)・人員的問題で困
難であり、かつその保全対策が充分には行われていない状況にあると思われた。特に皇居のお堀でも
百数十匹の鯉が死んだニュースなどマスコミで騒がれている「コイヘルペスウィルス病」や「伊豆沼での
ブラックバス問題」などを耳にする時、本来の自然環境が大きく損なわれていることを強く感じざるをえな
かった。
内水面水産試験場への要望として、産業振興の面から環境保全の上からも地の在来種の研究、保全
など希少種保護を検討してほしい、又、内水面水産試験場による産卵床造成技術の確立(内水面漁協
の増殖方法の1つ)、河川環境・魚道問題について河川行政への水産の立場での参加等を働きかけて
欲しいと考える。 
興味のある方は、宮城県 内水面水産試験場のホームページをご覧下さい。
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