「これからの内水面漁場(渓流域)の管理,構築に係る協議会」第3回目 内容メモ

● 協議会の概要 
開催日時:2009年5月18日(月)13:00〜16:30
会場:宮城県自治会館200,201号会議室
参加者:(敬称略) 合計24名
漁協関係者3名(県漁連・鳴子・花山)
行政関係者11名(水産庁・(独)水産総合研究センター・県漁業振興課・県自然保護課・県内水試)
宮城県内水面漁場管理委員会委員4名
その他学識経験者1名(宮城教育大学)
主催団体NPO関係者,一般遊漁者5名
注)第1回目の開催にあたり、NPO法人自然と魚を育てる会(以下PNFRと略称)が呼掛け役として働かせて頂きましたが、今後本協議会の進捗にあたり、当会にて事務局機能を果させて頂きたく御連絡致します。

   
● 議論の概要
第3回目となった本協議会ですが、前回開催から期日が開いた事と、その間にほとんどの行政担当者が変更してしまった事から、まずその経緯説明を行う事からはじまった。
その後、今回出席者の簡単な自己紹介、基調的な講演を行った後、それらのトピックに関してフリートーキングにて話合いを行いました。

 ◆主旨説明
     NPO法人自然と魚を育てる会より協議会の主旨および経緯の説明
     「H17年に掲げたビジョンが前提となり活動してきている事」
 ◆基調講演
     「県内におけるイワナ在来個体群調査結果について」 
            宮城県水産総合技術センター内水面水産試験場
     「漁場管理ビジョンの進捗と問題点」
            鳴子漁協
     「生物多様性と原種保存の重要性」
            (独)水産総合研究センター中央水産研究所内水面研究部生態系保全研究室 
               主任研究員 中村智幸氏
 ◆議論の概要(抜粋のみ)
  §宮城県水産総合技術センター内水面水産試験場の報告より
        宮城県内4水系で調査し、在来個体群と思われる遺伝子型を確認した
  
  §鳴子漁協の報告より
    ・原種の保護・利用方法について考えている
     ○保護┬積極的保護 ・・・禁漁←管理・監視が必要・・・労力,コスト発生
          └消極的保護 ・・・秘匿
     ∴組合の現況をみると決して十分な労働力やコストを有しているわけではない
     ⇒消極的保護にせざるを得ない
     ○利用
       積極的利用により地域個体群の重要性についての認知・普及に努めたい
       ところが、原種利用による遊漁料収入増よりも原種単独増殖に係わる経費増の方が大きい
       と予想され、原種利用のみでは経済的に成立しない。
     →原種の積極利用のためには別の方法での財源確保が必要となる。
    ・発言者A:県内水面漁場管理委員
     原種イワナの利用について、その管理・監視に労力・コストがかかる事は理解できるが、それでも
     やはり貴重な生物資源である事を多くの人が認識しつつ保護して行く姿が自然なのではないか?
     そのための方法を模索すべきである。

  §(独)水産総合研究センター中央水産研究所の報告
     内水面遊漁者数の推移,遊漁者のニーズ,大多数の漁協の実態,天然魚の価値,志賀高原漁協・
     上の村漁協・西大芦漁協等の事例紹介

  §フリートーキングでの主な意見
   ・発言者B:宮城県内水面漁連事務局として
    単協に対して色々な積極事例等の話をしに行く機会が多いが,大方の漁協では「マンパワー」「経済
    収支」などの問題点が先行して浮き彫りになるだけで、積極的に取組む段階に至らないという実情
    がある。漁協が漁場管理に積極的になるインセンティブとは何なのか?
   ・発言者C:宮城県農林水産部水産業振興課
    宮城県内の内水面漁業組合総数は17組合で構成員槽数はおよそ2000人程度。
    この人数は隣県・・・例えば山形県と比較すると10分の1程度の数字である。
    それだけに労働力や企画力の不足は十分に推測できる。
   ・発言者D
    これは地勢,地理的な要素・・・即ち奥羽山脈から太平洋へ直接流入する地形が多いことから隣県と
    比較して魅力的な渓流域が多く無い事などが要因の一つなのではないか?
   ・発言者E
    人口分布的には東北第1の都市である仙台市を抱え、渓流釣り人口にとっての地の利は宮城にあ
    る。だから釣り人数は他県に引けをとらないのではないか?
   ・発言者F
    一部の漁協では新たな組合員が加入する事を嫌う傾向も見られると感じられる。
   ・発言者G:水産庁釣人専門官
    宮城の川は情報が比較的少ない感じがする。
    釣り人の監視機能を活用するなどで漁協の労働力不足を補う方策を考えつつ、前向き管理を応援
    したい。
   ・発言:司会
    幾つかの問題が浮き彫りになった。今回の協議会においてはあえて「まとめ」をせずに、これからの
    改善につなげるアクションの源としていきたい。
   
● まとめ(事務局/PNFRによる)
3つの報告とその後に約1.5時間のフリートーキングを行った。
内容として幾つかの問題点が浮き彫りになったが、今後はその問題点を整理して一つずつ解決の方策を練っていかなければならない。
今回トピックとなった問題点の要旨は以下
  ・地域個体群の残存は確認されたが、それを保護・利用するための資金・労働力が十分でない。
  ・各単協に依る自主的な積極性を促す要素をリアルにしなければならない。

内水面漁業の仕組に係る根本的な問題も内包していて難しい問題もあるが、本協議会等においてその解決方法を模索しつつより良い方向に進むように今後とも活動していきたい。
以上
  
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【協議会内容報告】
 第1回内容メモ(05/07/06)    第2回内容メモ(05/10/04)   第3回内容メモ(09/05/18)



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